フォルクスワーゲンは、EVに電力を供給し、自動でプラグを差し込むこともできる新型の移動式充電ロボットを発表しました。このロボットはプロトタイプですが、指定の駐車場内を自由に動き回ることが可能で、固定の充電スポットをドライバー同士で奪い合うことなく、EVが駐車されている場所に電力を運ぶことができます。
ロボットアームの有用性に着目したのはフォルクスワーゲンが初めてではありません。テスラは数年前に、似たようなもの(はるかに怪しい蛇のようなデザインのロボット)を披露しました。しかし、イーロン・マスクCEOはロードマップ上にあると宣言していますが、いつリリースされるのかは明らかになっていません。
テスラのロボットが、自宅にEVを停めたときに電源を入れるのを忘れてしまうという煩わしさを解消することを目的としていたのに対し、フォルクスワーゲンのロボットは異なるコンセプトを持って開発されています。
現在、充電器を備えたEV用の公共駐車場が不足し、大きな課題となっています。EV用に駐車場を確保するためには、従来の駐車場を一定数ふさぎ、それぞれに充電器を設置する必要があります。
それに対処すべく、フォルクスワーゲンが提案するのが、EVが停められた場所に電力を供給するロボットです。このロボットは、「移動可能なエネルギー貯蔵ユニット」を持ってEVのところまで移動し、多関節アームを使ってプラグを差し込むことができます。「車両が完全に充電されると、ロボットは蓄電ユニットを自動で回収し、充電ステーションに持ち帰る」とのこと。
このシステムは、アプリを使って手動で起動することもできます。あるいは、Car-to-X(車対車)通信を搭載した車両であれば、ロボットに直接連絡して、蓄電ユニットをどこに持っていくかを指示し、支払いまで済ませることができます。
自動車メーカーは現在、EVの販売拡大を目指す一方で、増加する電動車両の充電をどう確保するかがますます重要な課題となっています。公共の充電ネットワークは拡大・増加していますが、今後数年間に想定される車両数をカバーするにはスピードが足りません。また、必要な場所に設置されていないことも課題の1つです。
多くのEV充電器が必要とする高電圧インフラを既存の構造物に設置する場合、大きなコストと手間が生じるため、EV用駐車場の確保も簡単ではありません。フォルクスワーゲンの提案する、充電器を駐車場内で移動可能にするというアイデアは、大規模な改築やコストを必要とせずにこの問題を解決することができるかもしれません。
移動式充電ロボットはまだプロトタイプの段階ですが、フォルクスワーゲンは他の充電技術と合わせて「総合的に開発を進める」としています。