入門モデルの現実は?BMW X1 xドライブ28i試乗レビュー

プレミアムブランドの品質と低価格は両立できるのでしょうか。BMWのクロスオーバーで入門モデルとなる『X1』は、比較的手ごろな価格でありながら、バイエルンの名門というプレステージを確立しようとしています。北米で発売されているX1の上位モデル、xドライブ28iに米スラッシュギア編集部が試乗しました。

2020年モデル BMW『X1 xドライブ28i』

(以下、米スラッシュギア編集部クリス・デイビスによる試乗レビュー)

X1 xドライブ28iの価格は37,200ドル(388万円)から。もちろん、これは車両本体の価格で、レザーやMスポーツパッケージといったオプションを装着した試乗車は45,245ドル(472万円)となっている。

X1は高い実用性も確保しながら、見栄えのいいクロスオーバーとなるよう最善を尽くしている。ボディラインは立体的で力強さを強調しているが、他のBMWとは異なりフロントグリルの主張はやや控えめ。18インチのMスポーツホイールが足元を引き締める。

2020年モデル BMW『X1 xドライブ28i』

搭載されているパワーユニットは、2.0L 直列4気筒ツインターボガソリンエンジン。トランスミッションは8速を採用。もちろん駆動方式は全輪駆動だ。前輪駆動のX1 sドライブ28iは35,400ドル(369万円)からとなる。全輪駆動モデルの0-97km/h加速は6.3秒で、前輪駆動モデルよりも0.3秒速い。

228馬力と350Nmのトルクを持つX1は、力強さであふれているわけではない。しかし、運転の楽しさは数字以上のものがある。残念ながら、この価格帯ではダイナミクスを向上させるアダプティブ・サスペンションは得られない。

2020年モデル BMW『X1 xドライブ28i』

走りだしはスムーズで、Mスポーツ・サスペンションがしっかりとした安定感を提供する。荒れた路面を走ることが多い場合には、このサスペンションは選ばない方がいいだろう。スポーツモードでは、アクセルとトランスミッションがアグレッシブに反応してくれる。8速ATはエネルギッシュな加速力と快適性のバランスが取れている。

2020年モデル BMW『X1 xドライブ28i』

ルーフラインが高いため、室内空間はしっかりと確保されており、特にリアシートのレッグスペースは驚くほど広い。トランク容量は767Lで、リアシートを倒すと1,662Lに拡張可能だ。

2020年モデル BMW『X1 xドライブ28i』

しかし、価格を下げるためのBMWの苦労はいたるところに見られる。内装材はソフトな感触を期待するかもしれないが、硬いプラスチック部品が多く使われており、レザーはオプションだ。

センターコンソールの上部には8.8インチのタッチスクリーンがあり、iDriveでも操作できる。画面は他のBMWと比べると少し小さく感じるが、物理的なコントロールスイッチが多く、エアコンなども操作しやすい。メーターは小さく、必要なものだけを表示しており、これといった特徴はない。

2020年モデル BMW『X1 xドライブ28i』

現実的な話をすると、価格の一部はBMWのエンブレムをつけるためだけに充てられている。プレミアムブランドにこだわらないのであれば、マツダの『CX-3』と『CX-5』は走りがよく、質感や機能性も十分に備わっている。その一方で、メルセデス・ベンツ『GLA 250』やキャデラック『XT4』のような同セグメントのライバル車と比較すると、X1に軍配が上がる。

オプションをつけすぎないよう気をつけたいところだが、X1 xドライブ28iは驚くほどの成功を収めている。ただ、筆者なら、スタイリッシュだが運転の楽しくないボルボ『XC40』や、全輪駆動を標準装備しているアウディ『Q3』を選ぶ。しかし、X1はBMW製クロスオーバーへの入り口として魅力的であり、すぐにアップグレードを望む心配もないだろう。

2020年モデル BMW『X1 xドライブ28i』

総評 8点/10点

長所

  • BMWで最も手頃なクロスオーバー
  • 2.0Lエンジンはパンチが効いている
  • 室内は意外に広い

短所

  • 想像以上にプラスチック部品が多い
  • オプションは価格が高い

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

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