あなたの「声」が部品になる:Fordが3Dプリントでホイールナットを作成

米Fordは、同社の自動車用に3Dプリントされたロックナットを開発したと発表しました。この新しい部品の目的は、Fordのホイールやタイヤを盗難から守ることです。3Dプリント技術を使用しており、Fordは付加製造(additive manufacturing)のリーダーである独EOS社と協力して、ドライバーの「声」を利用したロックナットを作成しました。

Fordによると、瞳の虹彩や指紋のように、人の声は生体認証として利用できます。エンジニアたちはオーナーの声を最低1秒間録音し、その声紋をコンピューターにより印刷可能な物理的なパターンに変換します。ちなみに、録音に使うセリフは次の通り。

「Ford Mustangに乗っています。」

この声紋パターンを円形にして、ロックナットのオスとメスの設計に使用します。オスとメスは一体として設計され、耐酸性・耐腐食性のステンレス鋼を使用して3Dプリントされます。2つのパーツを分離した後、少量の研削を行えば、世界にひとつしかないロックナットの完成です。

Fordは3Dプリント技術を自動車部品の製造に応用するよう力を入れている。今回のニュースは「話題性」を意識したものであろう。

エンジニアは、ナットが複製またはコピーされないように、第2のセキュリティ機能を設計しました。ナットの内部構造に工夫を施し、イレギュラーな力を加えると破損する仕組みになっているようです。

ロックナットは、Mustangのロゴやドライバーのイニシャルなどを使って、声紋なしでも作成できます。また、有名なサーキットコースのレイアウトを利用することも可能です。車好きには「自分だけの車」というオリジナリティを求める人が多いと思いますが、3Dプリントの技術により、自分の「声」を使った唯一無二のパーツを車に装着できることになります。

Fordは現在、自動車の組み立てやプロトタイプ製造の多くの部分で3Dプリンターを活用しています。同社によると、3Dプリントは新車の開発期間を短縮するといいます。自動車業界は最近、電気自動車(EV)や自動運転技術にばかり注目がいきがちですが、工場における製造工程にも革命が起ころうとしています。いつか1台の車が3Dプリンターで作られてしまう時代が来るかもしれません。

▼Ford 公式サイト 現地時間2020年1月28日付けの発表(英文)
https://media.ford.com/content/fordmedia/feu/en/news/2020/01/28/ford-develops-3d-printed-locking-wheel-nuts-to-help-keep-thieves.html

林 汰久也

愛知県在住 28歳。ハウスメーカーの営業を経て、ITベンチャー企業のメディア事業に参画。現在は退職し、フリーのライターとして活動中。マツダRX-8、シトロエンC4を乗り継ぎ、現在は2010年式スバル フォレスターに落ち着く。

コメント