フォードはクルマを自動で駐車させる「自動駐車場」のテストを行っており、自動運転技術の新たな道を開く可能性があります。フォードがボッシュと共同開発したこのシステムは、アプリを通じてクルマを遠隔操作することができます。
自動駐車場という技術はこれが初めてではありません。
さかのぼること2017年、メルセデスとボッシュはドイツのシュトゥットガルトにある駐車場に同様のシステムを設置。メルセデス・ベンツの博物館において、自動運転と車両間通信に関する取り組みのデモンストレーションに使用されました。
2019年半ばには、メルセデスは同サービスを提供する準備を整えていたものの、これもまだ商用サービスというよりはコンセプトの実証に過ぎません。
フォードのアプローチも似ています。フォードはミシガン州デトロイトの駐車場(Bedrock Assembly Garage)にボッシュ製のスマートインフラシステムを導入。SUV「エスケープ」とV2I(路車間通信)により通信します。
駐車場に内蔵されたセンサーが車両を認識して位置を特定し、空いているスペースへの誘導をサポートします。同時に、歩行者の位置や、人間のドライバーが手動で駐車しているクルマといった潜在的な危険も感知。自動駐車システムが作動しているときに何らかの障害物を検知すると、クルマを停止させます。
システムの使用はかなり簡単です。入庫時、ドライバーは駐車場の入り口にある指定場所にクルマを置き、アプリを使って空いている場所にクルマを配車します。出庫する時は、アプリを使って返却を依頼すると、クルマを回収場所まで誘導してくれます。
この自動駐車場システムは、V2Iの有用性を示しています。技術の多くは駐車場に組み込まれており、車両側には改造を必要としません。車両側ではアダプティブクルーズコントロールなど既存の運転支援システムを使用し、ステアリング、ブレーキ、トランスミッションはそのままに、操作を駐車場側に任せることができます。
システムは今回のケースのように後付けすることもできますし、建設時から構造体に組み込むこともできます。また、スペースの効率的な利用も期待できるでしょう。自動駐車場は、歩行者が駐車場内を移動するスペースを必要としないため、同じ面積で最大20%多くの車両を入庫することができます。
一方、フォードとボッシュは、同じ技術を他の分野にも応用できるかどうかを検討しています。1つの可能性としては、洗車やEVの充電など、特定のニーズに合わせて車庫内の別の場所にクルマを走らせることが考えられます。
これは明らかに、すべての道路、すべての条件で自律走行できるようになるまでの道のりとなるでしょう。フォードはこのテストを拡大する計画があるかどうかは明らかにしていませんが、運転支援システムの機能を増やす方法を常に探していると述べています。