2年の開発期間を経て、ブガッティのハイパーカー「ディーヴォ(Divo)」の納車準備が整いました。ディーヴォは「シロン」の派生モデルですが、その性格は大きく異なり、サーキットに特化したハイパースポーツカーです。
ディーヴォは通常のシロンよりも多くのダウンフォースを生み出し、軽量化も実現しています。シロンがスピードの壁を破ることを目的としているのに対し、ディーヴォはドライバーを楽しませることを使命としています。
ブガッティのステファン・ヴィンケルマン社長は、ディーヴォについて次のように語っています。
「ブガッティのコレクションに欠かせない、クラフトマンシップの傑作です。ディーヴォは、100年以上にわたるブガッティの歴史の中で画期的なクルマです。これで、最先端のハイパースポーツカーであるヴェイロンやシロンと並んで、ブガッティの歴史に名を刻むことになります」
ディーヴォという名前は、タルガ・フローリオ(イタリアの公道レース)における2勝を含む6度のグランプリ優勝を果たしたフランスのレーシングドライバー、アルベール・ディーヴォにちなんで付けられたものです。
コーチングの伝統を復活させたモデルであると同時に、最新のデジタル技術を用いて設計された初のブガッティでもあります。
ブガッティの副デザインディレクターであるフランク・ハイル氏は、伝統とデジタルの共生についてこう述べています。
「デザイナーとCADモデリングスタッフの共同作業は、刺激的で創造的なチームワークを生み出しました。この緊密な協力関係のおかげで、わずか5か月という非常に短い期間で新しいモデルを制作することができたのです」
ディーヴォはシロンよりもアグレッシブなスタイリング要素を備えています。
新しいフロントスポイラーを採用してダウンフォースを高めるなど、空力性能の向上に注力。同時に、軽量化されたLEDヘッドライトやボンネットの巨大なエアインテークも採用されています。
全体的に、標準的なシロンよりもスマートでフラットなデザインとなっています。
「ディーヴォを開発する際には、トップスピードを380km/hに制限していたため、設計に自由度がありました」とハイル氏。
「その結果、より多くのダウンフォースを発生させることができ、視覚的にも技術的にも独立したモデルにすることができました」
3Dプリントされたテールライト、幅1.83メートルのリアスポイラー、鋭利なリアディフューザーも見逃せません。これらの要素により、地面に吸い付くようなスポーティなハンドリングを実現しています。
パワートレインには、シロンと同じ8.0L W16エンジンを搭載。1,479馬力を発生し、停止状態から97km/hまで2.4秒で加速します。
ディーヴォ初号機の納車準備が整っているとはいえ、よほど運がよくない限り、街中で見かけることはないでしょう。ディーヴォは40台のみの超限定生産モデルで、価格は1台550万ドル(5億8千万円)からとなっているます。