ランボルギーニが発表した「エッセンツァ SCV12」は、830馬力のV12エンジンに目を奪われがちですが、レースカーにインスパイアされたステアリングホイールにも注目です。他のスーパーカーとは一線を画すダッシュボードのデザインに焦点を当ててご紹介します。
エッセンツァ SCV12のダッシュボードは、タッチスクリーンを多用した一般的なものとは異なり、ステアリングから手を離す必要性を可能な限り減らそうとしています。
ダッシュボードのデザインは長年にわたって進化してきましたが、クルマがより複雑になるにつれ、インターフェースもそれに合わせて複雑化せざるを得ませんでした。
最近では、すべての機能を物理的にコントロールするのではなく、ボタンやスイッチの数を抑えたデジタルインターフェースへの移行が一般的になってきています。
これはランボルギーニ「ウルス」を街中で走らせるときにはいいのですが、エッセンツァ SCV12をサーキットで使うときにはあまり実用的ではありません。
サーキット走行中にメニュー画面を開く時間がないのはもちろん、ディスプレイに手を伸ばすだけでも限界があります。最新のランボルギーニ製スーパーカーでは、そのような一切の手間が排除されています。
その代わりに採用されたのが、ディスプレイを内蔵した多機能ステアリングホイールです。従来のステアリングホイールよりもはるかに小さく、円形ではなく長方形で、手のグリップ力を維持できるように設計されています。
中央のディスプレイには、現在のギア、エンジン回転数、ラップペース、タイヤの空気圧と温度が表示されます。左手にはディファレンシャルを調整するダイヤルや、ABS調整ダイヤル、ピットラジオのボタンなどが並びます。
一方、右手にはパワステの設定を調整するダイヤル、ピットスピードリミッター、フルコースイエローのリミッター、ライト、ハザードなどを操作するボタンがずらり。トラクションコントロールの調整ダイヤルもあります。
ディスプレイの下には、クラッチ調整、ワイパー、エンジンのモード、情報ページの切り替えなどのノブが配置されています。
一見すると、かなり複雑に見えます。しかし、慣れてくると指がボタンの位置を覚え、瞬時に操作できるようになるでしょう。タッチスクリーンでは実現できない操作性です。
センターコンソールにもさまざまな機能が備わっています。エンジンスタート、ペダルのロック、インジケーター、緊急時のキルスイッチ、エアコン、スロットルなど、多数のボタンやダイヤルがあります。
美観よりも実用性を重視しており、グローブをはめたままでも操作しやすいサイズになっています。
もちろん、実際に試せるドライバーはほとんどいないでしょう。エッセンツァ SVC12は40台のみの限定生産モデルで、サンタアガタ・ボロネーゼにある特注の格納庫に専用の保管場所が1台ずつ用意されています。
また、エンジニアや技術者のチームが、世界中のさまざまなサーキットで車を走らせることができます。残念ながら、エッセンツァ SVC12を運転するには、これが唯一の方法となります。