約1年前、高級車メーカーのブガッティは、ジュネーブモーターショー2019で同社史上最安値の車両を発表しました。「ベイビーII」です。1920年代の名車を4分の3スケールにしたレプリカですが、発表後わずか3週間で完売。最近になって、新型コロナウイルスの影響によりキャンセルが発生したため、再び購入できるチャンスが生まれたのです。
ベイビーIIのモデルとなっているのは、1920年代にレースで大活躍した「タイプ35」。スケールダウンしたレプリカとはいえ、EVパワートレインを搭載しており、実際に走行することが可能です。
ベイビーIIには3つのバージョンがあり、ベースモデルはコンポジットボディと1.4kWhのバッテリーパックが特徴です。続く「ヴィテス(Vitesse)」は、カーボンファイバー製ボディに2.8kWhのバッテリーパックを搭載したパフォーマンスモデル。
最上位モデルはコレクターをターゲットにした「ピュールサン(Pur Sang)」です。ヴィテスに搭載されているパワートレインはそのままに、アルミ製のボディを手作業で成形しています。
ブガッティによれば、アルミ製ボディの製造にはオリジナルのタイプ35と同じ技術を用いているとのこと。1台当たり200時間以上が費やされているといいます。
ベイビーIIは後輪駆動を採用し、全車にリミテッドスリップデフ、高性能油圧ブレーキ、選択可能な走行モードを搭載。初心者モードでは最高時速19km、出力は1.3馬力に制限されています。
エキスパートモードでは時速48kmに緩和され、出力も5.4馬力まで向上。50ccの原付バイク並みのパワーを得られます。
さらに、ヴィテスとピュールサンにはリミッターを解除する「スピードキー」が備わっており、使用すれば最高出力13.4馬力を発揮することができます。最高速度は時速67kmに達し、ドライバーの体重にもよりますが、0~60km/h加速を6秒で達成できます。
航続距離は、「慎重に運転」した場合で25km(ベースモデル)となっています。
14歳以上を対象に作られていますが、大人でも十分に乗れるサイズです。スタイリングや計器類もオリジナルを充実に再現。子供用というよりも、子供心のある大人用という印象です。
しかし、価格には子供心は通用しません。ベースモデルで30,000ユーロ(371万円)からと、ブガッティにしては良心的な設定なのですが、気軽に買えるものではありません。危なっかしくて子供に運転させることもできないでしょう。
500台のうち、残っている数少ない製作枠はすでに販売された可能性もありますが、現時点で詳細は不明です。もし運よく手に入れることができれば、パパ友やママ友にも自慢できるはずです。