メルセデスは車内カメラを使って、誰がどの席に座り、何を見ているのかを把握します。2020年後半に正式デビューする予定の新型Sクラスは、メルセデス・ベンツの中で最も贅沢かつハイテクなモデルとなります。
新型Sクラスを「特別」にする要素の1つは、直感的な操作性にあります。かつては1個のボタンにつき1種類の機能を担っていましたが、クルマのシステムが複雑化するにつれて不可能になってしまいました。
物理的なボタンの代わりに、新型Sクラスではメルセデス最新のMBUXインフォテインメントシステムを搭載。大型のセンタースクリーンから、ドライブトレインの設定、車内の快適性、マルチメディアなどさまざまなシステムを操作できます。
車内には最大5つのディスプレイを搭載することができ、そのうち3つは後席に配置されます。「ヘイ、メルセデス」の呼びかけで起動するボイスコントロール機能は、フロントだけでなく後席でも利用可能です。
ダッシュボードに内蔵されたフェイス&アイトラッキングカメラは、ドライバーがどこを見ているのかを把握することができます。これにより、ドライバーの意図を理解し、適切な支援を行います。
例えば、左右どちらかのサイドミラーの角度を変えたい場合、そのミラーを見ながらパッドを操作するだけで角度を調整できます。右か左か、調整したいミラーをスイッチで切り替える必要がないのです。
また、運転席から後ろを振り返り、背後を確認しようとすると、自動的にリアブラインドを開いて視界を確保します。メルセデスの幹部によると、こうしたシステムは既存のSクラスのオーナーが求めていたものだといいます。
トラッキングカメラは、顔認識機能だけでなく、例えばドライバーモニタリングにも利用できます。
誰かがクルマに乗り込むと、顔、声、指紋のいずれかからその人を認識します。お気に入りのシートポジションや目的地など、さまざまな情報が紐づけられてメルセデスのクラウド上に保存されます。
そのデータは他のメルセデスモデルでもロードして利用可能です。クルマを乗り換えても、インフォテインメントや快適性(エアコンの温度など)の設定を引き継ぐことができます。運転席から後部座席に移動した場合も同じです。
最終的には、乗員が何をしようとしているのか予測することができるようになるとのこと。カメラなどによって危険性を検知すると、事前に防ごうとします。
例えば、ドアを開けたときに背後から接近してきたクルマと衝突するリスクがあります。それを防ぐため、乗員がドアハンドルに手を伸ばした際、事故の危険性を検知すると、照明を点滅させて警告を発します。