米リンカーンの最上級セダン、コンチネンタル(Continental)が今年末で生産を終了することが明らかになりました。2016年に発売された現行モデルは、アメリカを代表する高級車として派手に復活する計画でした。しかし、残念ながらその夢は潰えてしまい、今後リンカーンはSUVに注力していくことになります。
歴史あるフラッグシップセダンにとって、いい終わり方とは言えないでしょう。
初代コンチネンタルは、リンカーンが高級車ブランドとしての地位を確立するのに貢献し、何世代にもわたって「アメリカン・ラグジュアリー」を体現してきました。
リンカーンは、そんなコンチネンタルを現代に復活させることで、その華やかな全盛期の一部を取り戻そうとしていました。
2015年に発表された現行のコンセプトモデルは、豪華な内装材や大胆なカラーリングをふんだんに取り入れ、「高級車とは何か」を再定義するものでした。2016年に市販化されたときは、大いに注目を集めていました。
しかし、出来上がったクルマは、その期待に応えることができませんでした。
速くて快適な一方で、コンセプトで見られたような精神は引き継がれていませんでした。街中では悪目立ちしてしまい、ドライバーを喜ばせるショーマンシップにも欠けるというのがもっぱらの評価でした。
そして今、コンチネンタルに残された時間は尽きてしまいました。リンカーンが発表したところによると、コンチネンタルは2020年末に米国での生産を終了するといいます。中国では、現地生産の2021年モデルを販売する予定です。
「リンカーンは成長分野に投資しており、将来的には電気自動車を含むSUVのラインナップを構築する」
リンカーンは公式声明として、このようにSlashGearに語りました。
「しかし、米国ではフルサイズ高級セダンの需要が減少し続けているため、リンカーン コンチネンタルの生産は今年末で終了する予定だ」
リンカーンの親会社であるフォードも、セダンよりも売れ筋の商用車やSUVモデルに焦点を移す方針を示しています。
大型セダンの廃止を決定したのはリンカーンだけではありません。キャデラックも「CT6」の生産を中止しており、このような業界の変化が高級車を終焉に近づけていると指摘されています。
2020年第1四半期のリンカーンの販売台数を見てみると、そのことがよくわかります。
リンカーンのSUV販売台数は前年同期比で6%以上増加したものの、セダンなどの販売台数は10%以上減少しました。これは主に中型セダン MKZの販売不振によるもので、月平均で約520台を売り上げています。一方、中型SUV「アビエーター」は同時期に4倍近く売れたのです。
先述の通り、リンカーンはこれから電動SUVに注力していきます。
当初はフォードが出資しているリビアンをプラットフォームに採用する予定でしたが、戦略は変更されました。現在、リンカーンは独自のアーキテクチャを用いて、EVモデルの開発に取り組んでいます。