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ピックアップの新時代到来 ニコラ バジャー予約受注開始

米ニコラは、電動ピックアップトラック「バジャー(Badger)」の予約受付を開始しました。水素燃料電池車(FCV)と通常のEVを組み合わせた“異質”なモデルで、テスラ サイバートラックやフォードF-150 EVといったライバルとの差別化を図ります。

電動化が急速に進むピックアップトラック市場。これまでに発表された他社のモデルは、一般的な電池式電気駆動システムを採用していますが、ニコラ バジャーは独自の道を歩んでいます。

先述の通り、EVと水素燃料電池を組み合わせている点が最大の特徴です。ニコラによると、このFCEVの航続距離は最大965kmに達するといいます。価格は8万ドル(857万円)から。

燃料電池を搭載しない一般的なEV仕様も用意されており、最大250kWのDC急速充電に対応すると予想されます。航続距離は最大482kmで、価格は6万ドル(643万円)からとなっています。

ニコラのトレバー・ミルトンCEOは、水素燃料のインフラが確立されている地域で、FCEV仕様を提供する戦略だと明かしています。米国で燃料電池車を展開するトヨタやホンダと同じような戦略ですが、やはりインフラの確保が最大の課題となっています。

米国で水素燃料を補給できるのはカリフォルニア州やアリゾナ州など、ほんの一握りの州に限られています。そこでニコラは、独自で水素ステーションのネットワークを構築する計画を進めています。

バジャーには、いわゆる「グレード」の概念が存在しません。EV仕様にするかFCEV仕様にするかは選べますが、価格や装備の異なるグレードは設定されていません。

通常時の出力は455馬力で、ブースト機能により一時的に906馬力まで発揮できます。約3.6トンもの牽引能力を有し、トラックとしては申し分ない性能といえるでしょう。

ミルトンCEOによると、ボディカラーにはブルー、ホワイトグレー、グリーン、ブラックが用意されているとのこと。

しかし、残念ながらバジャーの納車はまだまだ先の話です。

ニコラは現在、アリゾナ州で建設中の生産施設において、クラス8の大型トラックの製造を計画しています。施設が完成し、本格的に稼働するのは2023年になると予想されています。それまではイヴェコ(Iveco)社と提携し、ドイツのウルム工場で燃料電池トラック「TRE」を生産します。

ニコラは今月初め、米証券取引委員会(SEC)に提出する書類(フォームS1)にて以下のように記しています。

「現時点では、クラス8の大型トラックの生産に集中しており、既存のOEMと戦略的パートナーシップを結ばない限り、バジャーの生産計画を立てる予定はない」

ニコラにとっての主力商品は大型トラックであり、ピックアップトラックは二の次というわけです。

上記の「OEMとの戦略的パートナーシップ」については明言されていません。ミルトンによると、詳細は年末までに発表されるものの、契約が成立するかどうかは不明だといいます。