クラシックなポルシェ911のリメイク版といえば、米カリフォルニア州を拠点とするレストモッドメーカー「シンガー・ビークル・デザイン(Singer Vehicle Design)」が群を抜いています。そのシンガー社の最新作は、オクタゴン コミッション911。ベース車両の味わいを丁寧に引き出した、最上のクラシック ポルシェと呼ぶにふさわしいモデルです。
これまでシンガー社が手掛けてきた911と同様に、このオクタゴン コミッションにもレトロなスタイリングがふんだんに盛り込まれています。特に目を引くのは、甘美なフックススタイルの5本スポークホイールと、シャーロックブルーの塗装です。ゴーストストライプとマイルドなシャンパンレタリングによって、レトロな雰囲気が引き立ちます。
また、ボンネット上に給油口が露出している点も特徴です。パワーユニットはチューニングされた4.0L 自然吸気の空冷フラット6を搭載しており、最高回転数は9,000rpmに達します。エンジンスペックの詳細は明らかにされていませんが、おそらく最高出力は500馬力以上になると思われます。トランスミッションは6速MTで後輪駆動。ATは用意されていません。
最大の美点はインテリアにあります。シンガー社製911のシートに座っていると、新旧さまざまな要素がミックスされた特別な体験ができます。高級素材をふんだんに使用しており、ウーブンレザーのパワーシートは、ニッケルのグロメットとアラバスタのステッチで装飾されています。一方、ドアシルやトランスミッショントンネルなど、インテリアパネルの目立つ部分はボディカラーと同色で仕上げられています。
フロントのトランクにも高級感のあるディテールが施されています。ボンネットを開けると、インテリアと同様にキルティングレザーを使用した豪華なラゲッジルームが現れます。
オクタゴン コミッションは、911の魅力をさらに味わい深いものにしてくれます。非常に美しく目の保養になるクルマですが、どれくらいの価値があるのでしょうか?シンガー社は価格設定についても明らかにしていませんが、この非の打ちどころのないフィット感と仕上げを考えると、かなりの金額になるのではないでしょうか。
これまでにシンガー社がレストモッドを手掛けた911は、約5,000万円というのがおおよその相場です。ただ、一部のモデルはオークションで1億円以上で落札された例もあり、コレクターの間では価値を認められているクルマであるといえるでしょう。