📖 この記事で分かること
・NotebookLMのChat機能が500文字から10,000文字へ20倍に拡張
・あなたの仕事専用のAIアシスタントを詳細にカスタマイズできる
・Product Manager、教師、研究者向けの実践的な使い方
・Googleが進めるAI戦略の中でNotebookLMが果たす役割
💡 知っておきたい用語
・Chat customization【チャットカスタマイゼーション】:AIとの会話の仕方を自分の仕事や好みに合わせて設定する機能。まるでAIに「あなたはこういう性格で、こんな風に答えてね」と細かく指示できるイメージです。
最終更新日: 2025年12月5日
GoogleのAI搭載ノートツール「NotebookLM【ノートブックエルエム】」が、小さいですが重要なアップデートを発表しました[1]。Chat customization機能の文字数制限が、これまでの500文字から10,000文字へと、なんと20倍に拡張されたのです。
何が変わった?文字数制限の劇的拡張
これまでNotebookLMでは、AIの振る舞いをカスタマイズする際、500文字という制限がありました。正直なところ、500文字では「丁寧に答えてください」「専門用語を使ってください」程度の簡単な指示しかできませんでした。
ところが今回のアップデートで、10,000文字まで詳細な指示が可能になったのです[1]。これは単なる文字数の増加ではありません。AIに対して、あなたの仕事の文脈、専門知識のレベル、回答の構造まで、極めて詳細に指定できるようになったということです。
具体的には以下が可能になりました:
- 職種や役割に応じた専門的なペルソナ設定
- 回答フォーマットの詳細な指定(箇条書き、表形式、構造化など)
- 専門用語の使用レベルや説明の深さの調整
- 情報源の扱い方や引用スタイルの指定
実に興味深い!3つの実践的ペルソナ
NotebookLMの公式発表を基に、以下のような活用例が考えられます。それぞれが、実務での活用シーンを具体的にイメージできる優れた設計になっています。
1. Product Manager(プロダクトマネージャー)モード
このペルソナは、社内ドキュメントを「意思決定メモ」形式に変換します。マーケティングの誇張表現を排除し、以下の要素を抽出します:
- ユーザーエビデンス:文書内の具体的なデータや引用
- 実現可能性チェック:技術的制約や要件の明示
- 盲点の指摘:文書に欠けている情報の明確化
開発現場では、複数の企画書や市場調査レポートから「で、結局何をすべきなのか?」を素早く抽出する必要があります。このペルソナは、まさにその作業を代行してくれるのです。
2. Middle School Teacher(中学校教師)モード
このペルソナは、難解な専門文書を12歳でも理解できる言葉に翻訳します。特徴的なのは、以下の構造を強制する点です:
- tl;dr(要するに):一文での要約
- Analogy(例え話):身近な現実世界での比喩
- Vocab List(用語リスト):難しい単語3つの簡単な定義
実に興味深いのは、文書にない情報を聞かれた場合、「That information isn’t in our reading material today(その情報は今日の資料にはありません)」と明確に伝える設計です。これは、AIの「知ったかぶり」を防ぐ重要な仕組みと言えます。
3. Scientific Researcher(科学研究者)モード
このペルソナは、厳密な学術基準でドキュメントを分析します。対象読者は高度な専門知識を持つ研究者を想定し、以下に焦点を当てます:
- 研究手法の詳細:サンプルサイズ、実験デザイン、統計的有意性
- データの整合性:情報の曖昧さや統計的弱点の明示
- 矛盾の指摘:複数ソース間の食い違い
論文執筆や先行研究レビューの際、膨大な文献から「この研究の弱点は何か?」「他の研究と矛盾していないか?」を見抜く作業は極めて時間がかかります。このペルソナは、その批判的分析を支援してくれます。
プロンプトエンジニアリングの民主化
今回のアップデートが意味するのは、プロンプトエンジニアリング【プロンプトエンジニアリング】の高度化です。
プロンプトエンジニアリングとは、AIに適切な指示を与えて望む結果を得る技術のこと。技術的には、AIモデルの入力テキスト(プロンプト)を最適化することで、出力品質を向上させる手法を指します。
従来、効果的なプロンプトを書くには、AIの仕組みへの深い理解が必要でした。しかし10,000文字という制限緩和により、専門知識がなくても、自分の仕事内容を詳しく説明するだけで、実用的なカスタマイズが可能になったのです[1]。
NotebookLMは今、どこまで進化しているのか
実は、今回のChat customization拡張は、NotebookLMの一連の大型アップデートの一部です。10月には以下の機能強化が発表されていました[2]:
- コンテキストウィンドウ8倍拡張:100万トークンまで対応
- 会話履歴6倍拡張:長い対話でも文脈を保持
- 応答品質50%向上:大量のソース活用時の精度改善
- 会話履歴の保存:タブを閉じても続きから再開可能[3]
個人的には、NotebookLMはビジネスパーソンの必須ツールとして地位を確立しつつあるように感じます。Gemini 3、Nano Banana Pro、Workspace Studioといった一連の発表を見ると、Googleは本気でAI活用の実用化を進めています。しばらくはGoogle製品の動向に注目しておいたほうがいいでしょう。
始め方は超簡単:3ステップで完了
NotebookLMのChat customization機能は、すでに全ユーザーに展開されています[1]。以下の手順で今すぐ試せます:
- NotebookLMにアクセス:notebooklm.google.com にアクセス
- ノートブックを作成:新規または既存のノートブックを開く
- Chat設定を開く:Chat画面で「カスタム」ボタンをクリックし、ペルソナを記述

NotebookLMの公式X投稿[1]で紹介されたプロンプト例をコピー&ペーストするだけでも、十分に効果を実感できます。そこから自分の業務に合わせて調整していくのがおすすめです。
1. The Product Manager
Prompt: Act as a Lead Product Manager reviewing internal documentation. Your role is to ruthlessly scan the source text for actionable insights, ignoring fluff and marketing jargon. When I query the sources, do not summarize them; instead, synthesize the information into a "Decision Memo" format.
Structure your responses to extract: User Evidence: Direct quotes or specific data points from the text that indicate a user problem or need. Feasibility Checks: Highlight any technical constraints or requirements mentioned in the documents. The "Blind Spots": Explicitly list what is missing from the source text (e.g., "The document lists features but lacks success metrics" or "Source B contradicts Source A regarding timeline").
Use bullet points for speed. If I ask a vague question, force me to clarify based on the specific documents available (e.g., "Are you asking about the Q3 Roadmap in Source 1 or the User Interviews in Source 2?").
2. The Middle School TeacherPrompt: Act as an engaging Middle School Teacher. Your primary goal is to "translate" the uploaded source documents into language accessible to a 7th grader (approx. 12 years old). When I ask about a topic, strictly base your explanation on the text provided but simplify the vocabulary and sentence structure. For every response, use the following structure based on the sources: The "tl;dr": A one-sentence summary of the specific section of the text I asked about, using simple words. Analogy: Create a real-world metaphor to explain the complex concept found in the source. Vocab List: Extract 3 distinct difficult words actually appearing in the source text and define them simply. If the source material contains dry data or dense paragraphs, break it down into a "True or False" quiz format to check comprehension. Do not use outside knowledge; if the answer isn't in the documents, tell the student: "That information isn't in our reading material today."
3. The Scientific Researcher
Prompt: Act as a research assistant for a senior scientist. Your tone must be strictly objective, formal, and precise. Assume the user has advanced knowledge of molecular biology, immunology, and statistical analysis; do not define standard terminology (e.g., "p-value," "CRISPR," "cytokine") or simplify complex concepts. Focus heavily on methodology, data integrity, and conflicting evidence within the sources. When summarizing papers, prioritize sample size, experimental design, and statistical significance over general conclusions. Format all responses with distinct, bolded sections: Key Findings, Methodological Strengths/Weaknesses, and Contradictions. Always cite specific sections of the source text using [1], [2] format. If information is missing, ambiguous, or statistically weak in the source, explicitly state "Data not available/insufficient in source." Avoid all conversational filler.
よくある質問
Q: Chat customization機能は無料プランでも使えますか?
A: はい、10,000文字へのアップデートは全プランで利用可能です[1]。NotebookLMの基本機能は無料で提供されています。
Q: 以前の500文字制限で作ったカスタマイズはどうなりますか?
A: 既存のカスタマイズ設定はそのまま保持されます。設定画面から追加の指示を書き足すことで、より詳細なペルソナに拡張できます。
Q: どんな職種で活用できますか?
A: Product Manager、教師、研究者以外にも、マーケター、弁護士、医療従事者、コンサルタントなど、専門的なドキュメント分析が必要なあらゆる職種で活用できます。自分の業務内容を詳しく記述することで、業務特化型のAIアシスタントを作れます。
まとめ
NotebookLMのChat customization機能が500文字から10,000文字へ20倍に拡張されたことで、あなた専用のAIアシスタントを詳細にカスタマイズできるようになりました[1]。Product Manager、教師、研究者向けのサンプルペルソナは、実務での活用イメージを具体的に示しています。
GoogleはGemini 3やNano Banana Pro、Workspace Studioなど、AI実用化を急速に進めています。NotebookLMはその中核ツールとして、ビジネスパーソンの日常業務に不可欠な存在になりつつあります。
まずは公式のサンプルプロンプトを試してみて、自分の仕事に合わせたカスタマイズを始めてみませんか?
【用語解説】
- NotebookLM【ノートブックエルエム】:GoogleのAI搭載ノート・研究支援ツール。ドキュメントをアップロードして質問すると、AIが内容を分析して回答してくれます。
- Chat customization【チャットカスタマイゼーション】:AIとの会話スタイルや回答形式を自分の好みに設定する機能。
- プロンプトエンジニアリング:AIに適切な指示(プロンプト)を与えて、望む結果を得るための技術。
- ペルソナ:AIに設定する性格や役割のこと。「厳格な研究者として振る舞う」「親しみやすい教師として説明する」など。
- コンテキストウィンドウ:AIが一度に処理できる情報量のこと。大きいほど長い文書や複雑な会話を扱えます。
免責事項: 本記事の情報は2025年12月5日時点のものです。NotebookLMの機能は予告なく変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
Citations:
[1] NotebookLM公式X投稿 – https://x.com/NotebookLM/status/1996674538701005012
[2] Google公式ブログ「Chat in NotebookLM: A powerful, goal-focused AI research partner」- https://blog.google/technology/google-labs/notebooklm-custom-personas-engine-upgrade/
