code red

OpenAIが最高警報「Code Red」!ChatGPTユーザー6%減の衝撃

2025年12月3日

📖 この記事で分かること

・Gemini 3発表後、わずか2週間でChatGPTユーザーが6%減少した事実
・OpenAIのCEOが社内に出した「緊急警報」の意味
・GoogleのGemini3とNano Banana Proが業界を変えつつある理由
・あなたが使うAIツールにどんな影響があるか

💡 知っておきたい用語

・code red【コード・レッド】:最高レベルの緊急警報。学校の火災訓練で先生が「今すぐ避難!」と叫ぶような、「すべてを止めてこの問題に集中しろ」という合図です。

最終更新日: 2025年12月3日

AI業界に激震が走っています。OpenAIのサム・アルトマンCEOが社内に「code red(最高警報)」を発令しました。

理由は明確です。Gemini 3の発表後わずか2週間で、ChatGPTのユニークデイリーアクティブユーザー(7日平均)が-6%減少したのです。

これは単なる注意喚起ではありません。OpenAIという会社にとって最も高いレベルの危機対応を意味します。実に興味深いのは、ChatGPTを生み出し、AI業界をリードしてきたOpenAIが、なぜ今この緊急事態を宣言したのかという点です。

衝撃の数字が示す危機

元Meta、元Google社員のDeedy Das氏がXに投稿したデータによると、Gemini 3のリリース後、ChatGPTのユーザー数が急激に減少しているとのことです。

この-6%という数字は一見小さく見えるかもしれません。でも、わずか2週間での減少と考えると、これは深刻な事態です。

New York Magazineの”Intelligencer”も、複数のサードパーティ分析企業がChatGPTの利用減少を確認していると報じています。OpenAIの「inevitable(必然的)」という企業ストーリーが崩れつつあるのです。

さらに注目すべきは、Salesforce CEOのマーク・ベニオフ氏が「ChatGPTは二度と使わない。Gemini 3に完全移行する」と公言したことです。これは企業レベルでの移行が始まっている証拠でしょう。

OpenAIの緊急対応

The InformationとWall Street Journalの報道によると、アルトマンCEOは月曜日に社内メモでこの警報を発令しました。

注目すべき点は、OpenAIの対応の速さと本気度です。アルトマンCEOは以下の方針を打ち出しました:

  • ChatGPTの改善を最優先事項とする
  • 広告事業など他のプロジェクトをすべて延期する
  • 「日々の使用体験」の向上に全力を注ぐ
  • Pulse(パーソナルアシスタント)、健康・ショッピング向けAIエージェントなどの開発を一時停止

正直なところ、この判断は驚くべきものです。OpenAIは広告事業の準備を進めており、オンラインショッピング関連の広告などをテストしていたと報じられています。収益化の重要なチャンスを延期してまで品質改善を優先するというのは、相当な危機感の表れでしょう。

立場が逆転した「code red」

実は、私が「code red」という言葉を初めて知ったのは、2022年12月のことでした。

当時、ChatGPTがリリースされた直後、危機感を持ったのはGoogleの方だったんです。Google経営陣が「code red」を宣言し、ChatGPTが検索ビジネスに与える脅威に対応するため、大量の社員をAIプロジェクトに配置転換しました。あの時は「へえ、こんな緊急警報があるんだ」と思いましたね。

それから約3年。今度はOpenAIがGoogleの追撃に警報を発する側に回ったわけです。

正直、この展開は予想以上に早かった印象があります。AI業界の競争がいかに激しいか、そして技術革新のスピードがいかに速いかを象徴する出来事だと感じています。

Gemini 3とNano Banana Proの脅威

でも、なぜGoogleのGemini 3がそれほどの脅威なのでしょうか?

Gemini 3は想像以上の実力を持っています。2025年11月18日に発表されたばかりのこのモデルは、Googleが「最も知的なAIモデル」と位置づけるものです。

Googleの公式発表によると、Gemini 3 Proは以下の点で際立っています:

  • 推論能力の大幅向上: 複雑な問題を深く理解し、微妙なニュアンスを把握
  • コーディング性能: 「最高の雰囲気のコーディングモデル」として評価
  • マルチモーダル対応: テキスト、画像、音声、動画すべてに対応し、統合的に処理
  • generative UI: ユーザーの質問に応じて動的に視覚体験やインタラクティブなインターフェースを生成

そして、個人的に最近すごく実感しているのがNano Banana Proの存在です。

Gemini 3発表の2日後(2025年11月20日)に発表されたこの画像生成・編集モデルは、正直なところ、どこを見ても目にするようになりました。TwitterでもInstagramでも、Google製品でも。クオリティが明らかに他と違うんです。

Nano Banana Proの特徴:

  • テキストレンダリングの精度: ポスターや図表に使える鮮明な文字生成
  • 複数画像の合成: 複数の写真をシームレスに融合
  • プロフェッショナル級の編集コントロール: ライティング、カメラアングル、アスペクト比の詳細調整

さらに驚くべきは、Nano Banana ProがGoogle Ads、Google Slides、Vids、NotebookLM、そしてAdobe FireflyやPhotoshopにまで統合されたことです。この展開の速さと広さは、Googleの本気度を示しています。

開発現場の視点で見ると、この競争はテクノロジーの進化速度を加速させています。アルトマンCEOは社内で「ChatGPTにとって重要な瞬間だ」と強調し、パーソナライゼーション機能の強化、応答速度の向上、より広範な質問への対応能力などの改善を求めています。

数字が示すGoogleの躍進

Googleの勢いは数字にも表れています。

月間アクティブユーザー数の推移:

  • 2025年7月: 約4億5000万(450 million)ユーザー
  • 2025年10月: 6億5000万(650 million)ユーザー
  • 約3ヶ月で約44%の成長

一方、ChatGPTは約8億(800 million)の週間アクティブユーザーを抱えています。測定単位が異なるため(GeminiはMAU【月間】、ChatGPTはWAU【週間】)直接比較は難しいですが、Geminiの成長スピードは実に脅威的です。そして、今回の-6%減少が続けば、この差は急速に縮まる可能性があります。

あなたへの影響は?

ただ、これは悪いニュースではありません。競争が激化すれば、私たちユーザーにとってはより良いAIツールが生まれる可能性が高まります。

実際に、OpenAIは来週にもGemini 3を上回る新モデルを発表する計画があるとも報じられています。内部テストでは既にGemini 3より高いスコアを記録しているとのことです。

個人的には、この「code red」宣言は健全な競争の表れだと感じています。OpenAIがユーザー体験の向上を最優先にするという判断は、短期的な利益より長期的な信頼を重視する姿勢の現れです。

AI業界の新しい競争時代

2022年当時、Googleの「code red」は業界に大きな衝撃を与えました。検索エンジンの巨人が、スタートアップのOpenAIに危機感を抱いたのですから。

それで、今回OpenAIが同じ警報を発するというのは、ある意味で歴史の繰り返しなんですよね。ただ、今回は立場が入れ替わっている。これって、AI業界がいかにダイナミックで予測不可能かを示す象徴的な出来事です。

業界の裏話を言うと、エンジニアの間では「誰が一番速く革新できるか」という競争が日々繰り広げられています。それで、OpenAIが広告収益を捨ててでも品質改善に集中するという決断は、技術者としては正しい選択だと思います。

意外かもしれませんが、こういう「すべてを止めて一点集中」という判断は、大企業ではなかなかできないんです。でもOpenAIはそれをやった。これは彼らの本気度を示しています。

Gemini 3の発表から約2週間。その実力が明らかになり、実際にユーザーの移行が始まっている。-6%という数字が、OpenAIの危機感を物語っています。

これから何が起きるのか

OpenAIの「code red」は、単なる社内の掛け声ではありません。これはAI業界全体の競争が新たな段階に入ったことを示しています。

私たちユーザーにとっては、以下のような変化が期待できます:

  • ChatGPTの応答速度がより速くなる
  • パーソナライゼーション機能が強化される
  • より幅広い質問に正確に答えられるようになる
  • 広告表示の開始は当面先送りされる

ただし、注意すべき点もあります。この競争の激化は、AI企業の財務負担を増大させる可能性があります。OpenAIは2024年に90億ドルを支出して50億ドルの損失を出したと報じられており、品質向上への投資はさらにコストを増加させるでしょう。

よくある質問

Q: 「code red」宣言でChatGPTは使えなくなるの?
A: いいえ、逆です。ChatGPTは今まで通り使えますし、これから品質がどんどん改善されていく見込みです。ユーザー体験の向上が最優先事項になったので、むしろ良い変化が期待できます。

Q: 広告が表示されるようになるの?
A: 当面は表示されません。OpenAIは広告事業の準備を進めていましたが、品質改善を優先するため延期されました。いつ再開されるかは現時点では不明です。

Q: GoogleのGemini 3に乗り換えた方がいいの?
A: それは使用目的次第です。ただ、この競争のおかげでChatGPTもGemini 3も急速に改善されています。両方試してみて、自分の用途に合った方を選ぶのがベストでしょう。特に画像生成が必要ならNano Banana Proは試す価値があります。

Q: -6%減少って本当に深刻なの?
A: はい、非常に深刻です。これはわずか2週間での減少であり、このペースが続けば1年で約-72%のインパクトになります(単純計算)。さらに、この数字はOpenAIが「code red」を発令するほどの危機感を持った根拠でもあります。

Q: Geminiの6億5000万ユーザーとChatGPTの8億ユーザーは比較できるの?
A: 注意が必要です。Geminiは月間アクティブユーザー(MAU)、ChatGPTは週間アクティブユーザー(WAU)です。測定期間が異なるため、直接比較は困難です。ただし、Geminiが3ヶ月で44%成長したというスピードは、非常に脅威的といえます。

まとめ

OpenAIの「code red」宣言は、AI業界の競争が新たな局面を迎えたことを示しています。GoogleのGemini 3とNano Banana Proという強力なライバルの登場により、ChatGPTは大きな転換点を迎えました。

2022年にGoogleが同じ警報を出した時、私はこの言葉を初めて知りました。あの時は「AI業界ってこんなに激しいんだ」と驚いたものです。今回、立場が逆転してOpenAIが警報を出す側になったことで、この業界の競争の激しさをあらためて実感しています。

そして、-6%という具体的な数字が、この危機の深刻さを物語っています。Nano Banana Proを最近あらゆる場所で見かけるようになったのも、Googleの攻勢の一環でしょう。

でも、これは私たちユーザーにとっては良いニュースです。競争が激しくなればなるほど、より優れたAIツールが生まれ、技術革新のスピードが加速します。

Gemini 3が発表されてまだ2週間。OpenAIの新モデルも近日発表予定。今後数週間から数ヶ月の間に、ChatGPTとGemini 3がどのように進化していくのか、注目すべき時期が来ています。AI業界の最前線で繰り広げられるこの競争から、目が離せません。

【用語解説】

code red【コード・レッド】: 組織が直面する最高レベルの緊急事態を意味する警報。すべての通常業務を停止し、特定の重大な問題に全力で対処するという意思表示です。元々は軍事用語ですが、ビジネス界でも危機管理の文脈で使われます。

Gemini 3【ジェミニ・スリー】: Googleが2025年11月18日に発表した最新の生成AIモデル。ChatGPTの強力なライバルとして注目されています。推論能力、コーディング性能、マルチモーダル対応など、あらゆる面で大幅に強化されています。

Nano Banana Pro【ナノ・バナナ・プロ】: Gemini 3 Pro Imageベースの最先端画像生成・編集モデル。2025年11月20日発表。テキストレンダリング、複数画像の合成、プロフェッショナル級の編集コントロールが特徴。Google製品全般とAdobe製品にも統合されています。

DAU(デイリーアクティブユーザー): 1日あたりのアクティブなユーザー数。7日平均は過去7日間の平均値を指します。AI業界では、この数字がサービスの健全性を示す重要な指標となります。

MAU(月間アクティブユーザー): 1ヶ月間に少なくとも1回サービスを利用したユーザー数。Monthly Active Usersの略。長期的なユーザーベースの規模を測る指標です。

WAU(週間アクティブユーザー): 1週間に少なくとも1回サービスを利用したユーザー数。Weekly Active Usersの略。MAUよりも短期的で、よりアクティブなユーザー層を反映します。

generative UI【ジェネラティブ・ユーアイ】: ユーザーの質問に応じて動的に視覚体験やインタラクティブなインターフェースを生成する技術。単なるテキスト応答ではなく、完全なユーザー体験を作り出します。

パーソナライゼーション: ユーザー一人ひとりの好みや過去の会話履歴に基づいて、AIの応答をカスタマイズする機能。あなた専用のAIアシスタントを作るイメージです。


免責事項: 本記事の情報は2025年12月3日時点のものです。AI技術と企業戦略は急速に変化するため、最新情報は各社の公式発表をご確認ください。

Citations:
[1] The Information – OpenAI CEO Declares Code Red (一次報道): https://www.theinformation.com/articles/openai-ceo-declares-code-red-combat-threats-chatgpt-delays-ads-effort
[2] Deedy Das X Post – ChatGPT DAU -6% (データ提供): https://x.com/deedydas/status/1995879560446181633
[3] New York Magazine – OpenAI Has a Very Big Problem: https://nymag.com/intelligencer/article/openai-has-a-very-big-problem.html
[4] Google Official Blog – Gemini 3発表 (公式): https://blog.google/products/gemini/gemini-3/
[5] Google Official Blog – Nano Banana Pro発表 (公式): https://blog.google/technology/ai/nano-banana-pro/
[6] Adobe Blog – Gemini 3 Nano Banana Pro統合 (公式): https://blog.adobe.com/en/publish/2025/11/20/google-gemini-3-nano-banana-pro-firefly-photoshop

KOJI TANEMURA

15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。

技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。

また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。

Copyright © 2025 AI TECH MEDIA スラッシュ. All rights reserved.