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年間1500億円の衝撃!AppleがGoogle製AI採用の真相

2025年11月27日

📖 この記事で分かること

・AppleがGoogleに年間約1,500億円を支払いAI技術を採用すること
・2026年春、あなたのiPhoneのSiriが大きく進化すること
・なぜAppleが独自AIではなくGoogle製を選んだのか(人材流出と技術格差)
・AI音声アシスタント競争の新時代がどう始まるのか

💡 知っておきたい用語

・パラメータ:AIがどれだけの知識を持っているかを示す数字。人間の脳の神経細胞のようなもので、数が多いほど賢いAIになります

📌 情報源について
本記事は、Bloomberg記者Mark Gurmanによる関係者情報に基づく報道を主要な情報源としています。AppleおよびGoogleからの公式発表ではありませんが、同記者はApple関連の正確な報道で知られており、複数の信頼できるメディアが同様の内容を報じています。正式な契約内容は両社の公式発表をお待ちください。


最終更新日: 2025年11月27日

AppleとGoogleが、AI分野で驚くべき協力関係を結ぼうとしている模様です。Bloomberg記者Mark Gurmanが関係者情報として報じたところによると、AppleはGoogleに年間約10億ドル(約1,500億円)を支払い、同社の最先端AI技術「Gemini」を採用する方向で最終調整を進めているとのことです。

この契約が実現すれば、2026年春にリリース予定の新しいSiriは、Googleの1.2兆パラメータを持つ超大型AIモデルで動くことになると報じられています。

なぜApple独自AIではダメだったのか

実に興味深いのは、この決断の背景です。Appleは長年、独自のAI技術開発に力を入れてきました。でも、正直なところ、AI競争ではOpenAIのChatGPTやGoogleのGemini、MetaのLlamaといった競合に大きく後れを取っていました。

圧倒的な技術格差

具体的な数字で見ると、技術格差の深刻さが分かります。PhoneArenaの報道によると、現在Appleが使用しているクラウドベースのAIモデルは150億パラメータ。目標としている自社開発モデルは1兆パラメータですが、これはまだ将来計画の段階です。

一方、Googleが提供するGeminiは1.2兆パラメータ。つまり:

  • 現在のAppleモデル:150億パラメータ(実用化済み)
  • Appleの目標モデル:1兆パラメータ(開発中、早くて2026年)
  • Google Gemini:1.2兆パラメータ(提供可能)

この差は技術的に見ると約80倍(現在)から約1.2倍(将来目標)。想像以上の格差です。

深刻化するAI人材の流出

さらに深刻なのは、人材流出の問題です。MacRumorsの2025年8月の報道によると、Appleは2025年1月以降だけで約12名のAI専門家を競合企業に失っています。

注目すべきは、AppleのFoundational Models(基盤モデル)チームのリーダーだったRuoming Pang氏が2025年7月にMetaに移籍したこと。Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、Pang氏を2億ドル(約300億円)のパッケージで引き抜いたと報じられています。

その他の主な流出人材:

  • Brandon McKinzie氏、Dian Ang Yap氏 → OpenAIへ
  • Liutong Zhou氏 → Cohereへ
  • Mark Lee氏、Tom Gunter氏、Bowen Zhang氏、Shuang Ma氏 → Metaへ

AppleのコアFoundation Modelsチームは50〜60人程度の小規模体制。この規模で12名を失うというのは、組織にとって極めて大きな打撃です。

自社だけで最先端AIを開発し続けるのは、技術的にも人材的にも現実的ではなくなっていたのです。

1.2兆パラメータが意味するもの

パラメータとは、AIがどれだけの知識や判断基準を持っているかを示す指標です。人間の脳で例えるなら、神経細胞のネットワークの複雑さのようなものでしょうか。

技術的には、大規模言語モデル【エルエルエム】(LLM)と呼ばれるこの種のAIは、数千億から数兆のパラメータを持つニューラルネットワークで構成されています。パラメータ数が多いほど、以下のような能力が向上します:

  • 複雑な質問への理解力:「ママが勧めてた本を探して」といった曖昧な指示も正確に処理
  • 文脈の把握能力:過去の会話を踏まえた自然な応答
  • 多言語対応:様々な言語での高精度な翻訳と理解
  • 専門知識:技術的な質問から日常的な相談まで幅広く対応

Googleが提供する1.2兆パラメータのGeminiモデルは、現在のSiriと比べて想像以上の進化を遂げることが期待されています。

GoogleとAppleの複雑な関係

注目すべき点は、この協力関係の複雑さです。GoogleとAppleは、検索エンジン分野ではすでに長年のパートナーです。iPhoneのSafariブラウザのデフォルト検索エンジンはGoogleで、Appleはそのために年間数十億ドルを受け取っています。

ただ、AI分野では両社は明確な競合関係にあります。Google Assistant対Siri、Android対iOSという構図の中で、今回のGemini採用は異例の協力と言えるでしょう。

TechNews科技新報の報道によると、今回の協力では以下のような特徴があると伝えられています:

  • Googleはモデル基礎のみ提供:Geminiサービスそのものを統合するのではなく、AIモデルの技術的基盤のみを提供
  • Apple Private Cloud Computeで運用:Appleの独自クラウドサーバー上でGeminiを動かすため、ユーザーデータはGoogleに流れない
  • 隠私保護の徹底:処理後のデータは即座に削除され、Appleのプライバシー基準を維持

これは、Appleが「技術は借りるが、ユーザーデータは守る」という戦略を取っていることを示しています。

新Siriの三大核心モジュール

MashableとBloombergの報道によると、2026年春にリリース予定の新Siriは、以下の三大核心モジュールで構成されると報じられています:

1. クエリプランナー(Google Gemini担当)

ユーザーの質問を理解し、どのように応答するかを決定する「頭脳」の役割。複雑な指示を複数のステップに分解し、最適な処理方法を計画します。

2. 知識検索システム(Apple独自技術)

ウェブ検索とデバイス内のデータにアクセスする機能。あなたの写真、メッセージ、カレンダー、連絡先などの個人情報を活用し、個別化された対応を実現します。

3. サマライザー(Google Gemini担当)

収集した情報を統合し、分かりやすく要約して自然な言葉で回答を生成。長文の情報も簡潔にまとめて提供します。

このように、GoogleのAI技術とAppleの端末統合技術が融合した形になると見られています。

2026年春、あなたのSiriが変わる

新しいSiriは、iOS 26.4とともに2026年3月か4月にリリースされる予定です。具体的にどう変わるのでしょうか。

予想される新機能

  • より自然な会話形式での対話
  • 複雑な質問への的確な回答
  • 複数のアプリを横断した高度な作業自動化
  • 過去の会話内容を踏まえた文脈理解
  • スマートホーム機器との深い統合

Reutersの報道によると、Google CEO Sundar Pichaiは2025年4月30日の反トラスト訴訟の証言で、年内の契約締結と2025年末までの統合を目指していると述べています。その後の複数の報道から、技術的な準備は着々と進んでいる様子です。

ただし、中国市場での展開にはまだ法規制上の課題が残っており、グローバル展開のタイミングは地域によって異なる可能性があります。

AppleのAI戦略、長期的な課題

この協力関係は、あくまで過渡期的なものかもしれません。複数の報道によると、Appleは内部で「Geminiを長期的な依存対象とは見ていない」との姿勢を示していると伝えられています。

PhoneArenaの報道によると、Appleは自社で1兆パラメータ規模のAIモデルを開発中で、早ければ来年中に消費者が使用できるようになる可能性があるとのこと。つまり、Geminiは「自社AI完成までのつなぎ」という位置づけなのかもしれません。

でも、AI開発には莫大なコストと時間、そして優秀な人材が必要です。50〜60人規模の小さなチームで12名の流出を経験し、しかもチームリーダーまで失った状況で、Appleが本当に独自AIで巻き返せるのか。今後の動向が注目されます。

AI音声アシスタント競争の新時代

今回の報道は、AI業界に新たな時代の到来を告げるものです。かつて「自前主義」で知られたAppleが、競合であるGoogleの技術を採用するという決断は、AI競争の激しさを物語っています。

個人的には、これはユーザーにとって良いニュースだと思います。企業の垣根を越えて最高の技術を組み合わせることで、私たちはより賢いAI音声アシスタントを手にすることができるからです。

2026年春、あなたのiPhoneのSiriが「入門レベル」から「プロフェッショナル」に変わる。そんな変化を期待しても良いかもしれません。

よくある質問

Q: 新しいSiriを使うにはiPhone買い替えが必要?
A: iOS 26.4に対応する機種であれば、既存のiPhoneでも利用できる見込みです。ただし、一部の高度なAI機能は、最新チップを搭載したモデルのみで動作する可能性があります。

Q: Googleにデータが渡るのでは?プライバシーは大丈夫?
A: 報道によると、AppleのPrivate Cloud Compute上でGeminiが動作するため、ユーザーデータはGoogleのサーバーには送られない設計になっているとのことです。処理後のデータも即座に削除される仕組みと伝えられています。

Q: ChatGPTとGemini、どちらが使われるの?
A: 現時点では、iOS 18.2ですでにChatGPTとの統合が始まっています。2026年春以降は、Geminiが主要な言語理解エンジンとして機能し、ChatGPTは補完的な役割になる可能性があると見られています。

Q: この契約は確定しているの?
A: 現時点ではAppleおよびGoogleからの公式発表はありません。Bloomberg等の信頼できるメディアによる報道ベースの情報です。正式な契約内容は両社の公式発表をお待ちください。

まとめ

AppleとGoogleのAI協力が報じられている背景には、年間1,500億円という巨額投資が示す通り、両社にとって極めて重要な戦略的判断があると見られます。

その背景には、想像以上に深刻な技術格差がありました。現在150億パラメータのモデルから1兆パラメータへの飛躍を目指すApple。一方、すでに1.2兆パラメータのGeminiを提供できるGoogle。さらに、わずか50〜60人のチームから12名のAI専門家が流出するという人材危機。

これらの現実が、「自前主義」のAppleに方針転換を迫ったと考えられます。

2026年春、私たちのiPhoneに搭載されるSiriは、三大核心モジュール(クエリプランナー、知識検索システム、サマライザー)によって、これまでとは次元の異なる知能を持つことになる可能性があります。

ユーザーにとっては、最高の技術を使える環境が整うという意味で、歓迎すべき変化かもしれません。2026年春のリリースまで、まだ1年以上あります。その間に、AI技術はさらに進化するでしょう。Apple、Google、そして他のAI企業がどんな驚きを用意しているのか、目が離せません。


📚 本記事の主要情報源について

本記事は以下の信頼できる情報源に基づいて作成されています:

一次報道(最重要)

  • Bloomberg(Mark Gurman記者による関係者情報)
  • Reuters(Sundar Pichai CEOの法廷証言)

技術情報・詳細報道

  • MacRumors(AI人材流出の詳細)
  • PhoneArena(技術仕様の詳細)
  • Mashable(新Siri構成の詳細)
  • TechNews科技新報、瘋先生、GIGAZINE(日本語・中国語圏での報道)

注意事項
AppleおよびGoogleからの公式プレスリリースは現時点では発表されていません。本記事の情報は複数の信頼できるメディアによる報道に基づいていますが、正式な契約内容は両社の公式発表をお待ちください。

【用語解説】

LLM【エルエルエム】(大規模言語モデル):大量の文章データを学習したAI。人間のように自然な文章を理解し、生成できる。ChatGPTやGeminiなどが代表例。

パラメータ:AIモデルが持つ「知識の量」や「判断基準の数」を示す指標。数が多いほど複雑な処理が可能になる。1.2兆パラメータは現時点で最高水準の規模。

Private Cloud Compute:Appleが開発した独自のクラウドコンピューティング環境。ユーザーデータを暗号化し、処理後は即座に削除することで、クラウドAIとプライバシー保護を両立する技術。

iOS 26.4:Appleのモバイルオペレーティングシステム(OS)の2026年春予定バージョン。新Siriが搭載される見込み。

Gemini【ジェミナイ】:Googleが開発した最新の大規模言語モデル。多言語対応、画像理解、長文処理など多機能なAI。

Foundation Models(基盤モデル):様々なAI応用の土台となる大規模AIモデル。Apple内ではこのチームが次世代AIの開発を担当している。


免責事項: 本記事の情報は執筆時点のものであり、複数の信頼できるメディアによる報道に基づいていますが、AppleおよびGoogleからの公式発表ではありません。AI技術は急速に進歩しているため、機能や制限は予告なく変更される場合があります。正式な契約内容やリリース時期などの詳細は、両社の公式発表をお待ちください。

Citations:
[1] Bloomberg – Apple Plans to Use 1.2 Trillion Parameter Google Gemini Model to Power New Siri
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-11-05/apple-plans-to-use-1-2-trillion-parameter-google-gemini-model-to-power-new-siri

[2] 瘋先生 – 蘋果新版Siri整合Google Gemini模型,採三大核心和推出時程曝光
https://mrmad.com.tw/apple-siri-gemini-integration-launch-timeline

[3] TechNews科技新報 – 蘋果Siri改造計畫洩密,2026迎大升級但內建Google靈魂?
https://technews.tw/2025/11/03/siri-google/

[4] Reuters – Google hopes to reach Gemini deal with Apple this year
https://www.reuters.com/sustainability/boards-policy-regulation/google-ceo-sundar-pichai-take-stand-search-antitrust-trial-2025-04-30/

[5] GIGAZINE – Appleが年間1500億円をGoogleに支払い新生SiriにGeminiのカスタムモデルを採用か
https://gigazine.net/news/20251106-apple-new-siri-google-gemini-model/

[6] PhoneArena – Report reveals how much Apple will pay Google to use a custom Gemini model
https://www.phonearena.com/news/report-reveals–apple-will-pay-google-to-use-custom-gemini-model_id175503

[7] MacRumors – Apple’s Real AI Crisis Isn’t Siri, But the Talent It’s Losing to Rivals
https://www.macrumors.com/2025/08/07/apples-ai-problem-not-just-siri-talent-leaving/

[8] Mashable – The new AI Siri will reportedly be powered by Gemini
https://mashable.com/article/apple-siri-may-be-powered-by-google-gemini

KOJI TANEMURA

15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。

技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。

また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。

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