cloudflare error

Cloudflare障害でXやChatGPT不調 見えたネットの弱点

2025年11月18日
📖 この記事で分かること
・2025年11月18日に起きたCloudflare障害の概要
・なぜXやChatGPTを含む多くのサイトで500エラーが出たのか
・「CDN」が止まるとインターネット全体にどんな影響が出るのか
・自社サービスが取るべきチェックポイントと今後の備え
💡 知っておきたい用語
・CDN【シーディーエヌ】:世界中に分散したサーバーにコンテンツをキャッシュして、Webサイトの表示を速くしつつ、攻撃や負荷から守るためのインターネット基盤サービス

最終更新日: 2025年11月18日
※ 2025年11月18日22:30 現在もエラーが発生しています(筆者確認)
※ 2025年11月18日23:25 現在 筆者のXは復旧確認済みです。ChatGPTはエラー継続してます。
※ 2025年11月18日23:45 筆者の環境では復旧確認済みです。

何が起きたのか:XやChatGPTまで巻き込んだ障害

11月18日夜(日本時間)、X(旧Twitter)で「ポストを読み込めません」というエラーが出て投稿や閲覧がしづらい、複数のWebサイトで「500 Internal Server Error」が表示される、という報告が一気に増えました。

AI TECH MEDIA スラッシュ X

その原因として浮かび上がっているのが、インターネットの基盤を支えるCloudflare(クラウドフレア)の障害です。国内メディアの報道によると、日本時間の18日20時48分ごろからCloudflareのCDNサービスで障害が発生し、同じタイミングでXも利用しづらい状態になったと伝えられています。

海外メディアも、XやChatGPTを含む多くのサイトでアクセス障害が起きていると報じています。

Cloudflare側が認めた「広範な500エラー」

Cloudflareは公式ステータスページで、「複数の顧客に影響するWidespread 500 errors(広範な500エラー)が発生しており、ダッシュボードやAPIも動作していない」と発表しました。

500エラーは、ざっくり言えば「サーバー側で何かトラブルが起きている」という合図です。今回は特定の1サイトではなく、Cloudflareのネットワーク側で問題が起きたことで、そこを経由している多くのサービスが一斉にエラーを返しているとみられます。

現時点でCloudflareは「internal service degradation(内部サービスの低下)」とだけ説明しており、詳細な原因はまだ公表されていません。

なぜ1社の障害で“半分のネット”が止まるのか

今回の出来事が少し怖いのは、「Cloudflareが止まると、XやChatGPTを含む“世界中のサイト”がまとめて不安定になる」ことが改めて可視化された点です。

CDN【シーディーエヌ】は、

  • 世界中に分散したサーバーにコンテンツをキャッシュし、
  • ユーザーから最も近い拠点からデータを返すことで高速化し、
  • DDoS攻撃などの大量アクセスからも守る、

という“見えない高速道路+交通整理役”のような存在です。

多くのWebサービスは、

  • 画像や静的ファイルの配信
  • セキュリティ(WAFやDDoS対策)
  • DNS(名前解決)

などをCloudflareに委ねています。インフラを任せることで開発・運用コストを大きく減らせる一方で、「その1社に大きく依存している」というリスクも同時に抱え込んでいる、ということでもあります。

影響を受けたサービスと、まだ見えていないリスク

海外報道では、XやChatGPTのほか、さまざまなWebサービス・ゲーム・決済関連サービスなどが今回の障害の影響を受けたとされています。

日本国内でも、

  • SNS
  • 一部のニュースサイト
  • 個人ブログや掲示板

などで「つながらない」「エラー画面しか出ない」という声が相次ぎました。

正直なところ、Cloudflareを経由しているサービスは非常に多く、「影響を受けたサイトの全体像」をリアルタイムで把握するのはほぼ不可能です。今回のような障害が起きると、「自社が使っているあのサービスも裏でCloudflareに依存していた」と後から気づくケースも少なくありません。

企業・サービス運営者が今すぐ確認しておきたいこと

今回の障害は、「インターネットのインフラ設計を見直すタイミング」として捉える価値があると感じています。特に次のポイントは、早めに棚卸ししておくと安心です。

  • 自社サービスがどこまでCloudflareに依存しているか
    • CDN、WAF、DNS、画像配信、TLS終端など、役割ごとに確認
  • ステータスページや監視の導線が整っているか
    • Cloudflareステータスや障害情報をすぐ確認できる仕組みがあるか
  • 代替経路・マルチCDNの検討余地
    • ミッションクリティカルなサービスは、単一ベンダー依存をどこまで許容するか
  • ユーザーへの情報発信フロー
    • 「自社側ではなくインフラ障害です」という説明を素早く出せる体制になっているか

すべてを一気に変える必要はありませんが、「どこまで他社インフラに乗っていて、何が止まるとサービスが巻き添えになるのか」を言語化しておくことは、今後ますます重要になりそうです。

一般ユーザーとしてできるシンプルな対処

一般ユーザーの立場でできることは限られていますが、それでも混乱を減らす小さなポイントはあります。

  • サービス側のステータスページや公式アカウントを確認する
  • 同じ時間帯に複数サービスでエラーが出ている場合は、「自分の回線の問題かどうか」を切り分ける
  • 大事な作業(決済・重要な投稿など)は、明らかに不安定な時間帯は避ける

「自分だけのトラブル」なのか、「インターネット全体の問題」なのかをざっくり見極めるだけでも、余計な不安や誤解を減らせます。

まとめ:見えないインフラに、どう付き合うか

今回のCloudflare障害は、XやChatGPTが止まるという分かりやすいインパクトを通じて、「インターネットはごく少数の基盤企業に強く依存している」という現実を見せてくれました。

個人的には、Cloudflareのようなインフラ企業を否定する話ではまったくなく、むしろ「こうした基盤があるからこそ、スタートアップや中小企業が素早くサービスを立ち上げられる」恩恵を日々受けていると感じています。

ただ同時に、

  • どこまで依存するのか
  • 障害が起きたときに、利用者へどう説明するのか

という“付き合い方”を、経営と現場が一度テーブルの上に乗せて話し合うタイミングなのかもしれません。


よくある質問

Q: 今回の障害はサイバー攻撃が原因なのでしょうか?

A: 現時点でCloudflareは「internal service degradation(内部サービスの低下)」と説明しており、サイバー攻撃が原因だと断定できる情報はありません。「攻撃の可能性がある」という報道も確認できていないため、推測は避けた方が安全です。

Q: 自社サービスがCloudflareを使っているか、どう調べればいいですか?

A: 開発・インフラ担当に「CDNやWAF、DNSの委託先はどこか」を確認するのが最も確実です。技術的にはDNSレコードやHTTPレスポンスヘッダーからも分かる場合がありますが、ビジネス側の方はまず社内の担当者に聞くのがおすすめです。

Q: 一般ユーザーとして、今後こうした障害にどう備えればいいですか?

A: 完全に避けることはできませんが、

  • 重要な作業は深夜のメンテナンス時間帯を避ける
  • 代替手段(別の連絡ツールやクラウドサービス)をいくつか持っておく
  • 障害情報をまとめてくれるサービスや公式ステータスページをブックマークしておく といった小さな備えで、業務への影響をかなり減らせます。

まとめ

  • 2025年11月18日、Cloudflareの障害により、日本時間の夜から世界中で500エラーやアクセス不能が相次ぎました。
  • XやChatGPTを含む多数のサービスが同時に不安定になり、「インターネットの見えないインフラ」への依存度の高さが露わになりました。
  • 企業側は「どこまで外部インフラに依存しているか」を棚卸しし、障害時の情報発信や代替手段を検討する必要があります。
  • 一般ユーザーにとっても、「自分の回線の問題か、インフラ側の問題か」を切り分ける視点があるだけで、余計な不安や誤解を減らせます。

今回の障害は、不便さと同時に、「インターネットの裏側」を少しだけ覗かせてくれる出来事でもありました。ここで得た学びを、次の設計や備えに生かしていきたいところです。


【用語解説】

  • Cloudflare【クラウドフレア】 Webサイトの高速化、DDoS攻撃対策、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)、DNSなどを提供するインターネットインフラ企業。世界中のWebサービスが利用している。
  • CDN【シーディーエヌ】(Content Delivery Network) 世界各地に配置したサーバーにコンテンツをキャッシュし、ユーザーから最も近い拠点から配信することで、高速化と負荷分散を実現する仕組み。
  • 500 Internal Server Error【500エラー】 サーバー側で予期しないエラーが発生したときに返されるHTTPステータスコード。原因はさまざまで、アプリのバグからインフラ障害まで幅広い。
  • ステータスページ サービスの稼働状況や障害情報をリアルタイムで公開するWebページ。Cloudflareや多くのクラウドサービスが提供している。
  • DDoS攻撃【ディードス攻撃】 分散した多数のコンピュータから一斉にアクセスを送りつけ、ターゲットのサービスを利用不能に追い込む攻撃手法。Cloudflareが防御サービスを提供している分野の一つ。

免責事項: 本記事の情報は執筆時点の情報・各社公式発表・報道に基づいています。障害の原因や影響範囲は今後の調査結果により更新される可能性があります。最新の状況は、Cloudflareおよび各サービス提供事業者の公式情報を必ずご確認ください。

Citations:
[1] ITmedia「Cloudflareで障害 Xも不調」
[2] 携帯総合研究所「Cloudflareに大規模障害」
[3] Engadget / TechRadar等によるCloudflare 500エラー報道
[4] Independent / Forbes等によるX・ChatGPTへの影響報道
[5] Yahoo!知恵袋などユーザー報告(Xが読み込めない等)

KOJI TANEMURA

15年以上の開発経験を持つソフトウェアエンジニア。クラウドやWeb技術に精通し、業務システムからスタートアップ支援まで幅広く手掛ける。近年は、SaaSや業務システム間の統合・連携開発を中心に、企業のDX推進とAI活用を支援。

技術だけでなく、経営者やビジネスパーソンに向けた講演・執筆を通じて、生成AIの最新トレンドと実務への落とし込みをわかりやすく伝えている。

また、音楽生成AIのみで構成したDJパフォーマンスを企業イベントで展開するなど、テクノロジーと表現の融合をライフワークとして探求している。

Copyright © 2025 AI TECH MEDIA スラッシュ. All rights reserved.